こんにちは。
このページではこれからの時代に必要な「DX」を
調剤薬局にも取り入れられないかを考えていきたいと思います。
調剤薬局と言っても大手チェーン薬局さんは既にDX化をどんどん進めている中で、
中小の調剤薬局が今後どうすれば良いかを書いていきたいと思います。
調剤薬局の「DX化」を考える
DXとは
そもそもDXとは何?という方へご説明します。
DXという言葉は、「Digital Transformation」そのままだと「DT」ですが、
英語圏の方は「trans」を「X」で表す事が多いそうですので「DX」となっています。
DX人材について書かれた書籍はこちらのページで紹介しています。
DXの発祥
初めにDXの概念を提唱した方は、
スウェーデン・ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授という方で、
「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」とおっしゃいました。
このままでは広すぎてわかりにくいので、
経済産業省が日本でDXを推進していこうと書いたものがこちらになります。
経済産業省が2018年12月にレポートをまとめていますのでご紹介します。
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。それによって企業として安定した収益を得られるような仕組みを作ること
経済産業省:https://www.meti.go.jp/press/2018/12/20181212004/20181212004-1.pdf
今まで調剤薬局は「モノ=お薬」を提供していればよかったのですが、
これからは「コト=付加価値」を提供していく時代になっています。
「モノ」を提供する店は飽和状態ですので、
「コト」を提供できるかが重要な時代になっています。
調剤薬局は「対物から対人へ」
2015年に厚生労働省が策定しました「患者のための薬局ビジョン」
まさにこれです。
コロナ禍により予定より早く進んでいます。
これを踏まえて書いていきたいと思います。
調剤薬局がDX化した新しいカタチ「ミナカラ」
「株式会社ミナカラ」ミナカラというオンライン薬局さんが、
2021年6月22日に大変興味深いページをアップされていましたので、
ご紹介したいと思います。
まったく面識ないのですが、勝手にご紹介させて頂きたいと思います。
記事:ミナカラと慶應義塾大学との共同研究の成果として「薬剤師によるオンライン相談に関する実態調査」報告書を公開
最初ミナカラさんを見つけた時は、
「これが次世代薬局のカタチ」ではないかと感じました。
気軽に相談できる環境を提供することが、
まずは大切ですね。
それを「オンライン薬局」というカタチでされています。
オンラインの良さを上手く取りいれられていると思いました。
参考にさせて頂きたいと思います。
調剤薬局にとって今後必要な事
まずは薬局にとって今後必要な目指すべきところをまとめます。
・お薬中心から患者様中心へ
・付加価値の提供
・地域、人に密着
・処方箋に頼らない経営
・コミュニケーション能力、接遇向上
もう、この内容はずっと言われていますし色んなとこに書かれています。
ですが、出来ていないお店が多いと感じています。
ですのでこの目指すべき姿になるようにはどうすれば良いのかを、
考えていきたいと思います。
調剤薬局はお薬中心から患者様中心へ
お薬中心の業務は効率化できる部分がたくさんあります。
例えば、
調製に関しては、ほぼどの薬局も導入されている一回飲む分に分けて薬を包む機械、
分包機です。
あとは、ピッキング(包装されたままの医薬品を薬棚から取り揃える行為)支援、
監査システムなど各メーカーさんが販売されています。
今や調剤室の業務はほぼ機械により自動化出来ます。
ピッキング支援や最終監査システムなどは、
非薬剤師の活用の部分でさらに需要が高まる様に思います。
・処方箋受付、オンライン資格確認 (レセコン、事務員)
・ピッキング業務(事務員がハンディ使用の上 or 払い出し機器)
・薬剤監査(監査システム or 薬剤師)
・分包機使用し一包化(一包化機器 or 薬剤師)
・最終監査(薬剤師、機器)
作業になる部分はすべて機械化可能なので、
あとはその機器類を操作するスタッフと対人業務である投薬に薬剤師さんが必要になる状態です。
調剤薬局DX化、付加価値の提供
初めにも書かせて頂いた様に、
これからは「コト=付加価値」の提供がキーポイントです。
今後はこの付加価値が提供できるかが重要になってくると思います。
このコロナ禍で一気にニーズが高まったのもあり未来の調剤薬局のある姿が少し見えてきたような気がします。
一つのシミュレーションを構想してみます。
【シミュレーション】
Aさんは少し肌が荒れており病院に行こうか悩んでいます。
普段仕事をしており、クリニックを受診しようと思うと、
クリニックの待ち時間が長いので、仕事も休めず躊躇してしまいます。
そこでオンライン診療なら休憩時間の空き状況を確認して予約できるので、
Aさんは今すぐ予約を入れ、仕事の休憩時間にオンライン診療を受けることにしました。
オンライン診療を受けたAさんは処方箋が発行されたので、
調剤薬局にお薬をもらう段取りをします。
しかし、仕事中ですので薬局には行けません。
次の休憩時間に今度は調剤薬局にオンライン服薬を予約し処方箋を送信しました。
その後、調剤薬局とチャットで問診を行い休憩時間にオンライン服薬指導を受けました。
お薬の説明を受けたAさんは、仕事帰りに薬を取りにその調剤薬局に行きます。
その調剤薬局の前には「お薬受け渡し用パスボックス」があるので、
パスボックスにスマホをかざし、お薬を取り出し帰宅しました。
いかがでしょうか?
これは一例ですが、現実にこういう薬局が実は出来つつあります。
全てがこのカタチになる事が望ましいとは思いませんが、
少なからず確実に需要はあると思います。
まとめると、
・オンライン服薬指導アプリで処方箋受け取り(電子処方箋)
・オンライン服薬指導アプリで服薬指導
・お薬受け渡し方法確認
・お薬の送付
・お薬の時間外受け取り(パスボックス)
まず調剤薬局がチャレンジするにはどうしたら出来るかを検討してもいいかと思います。
調剤薬局は地域、人に密着 必要なのは医療DX人材
これから確実に言えることは、ますます「デジタル社会になる」ということです。
医療業界は今まさに変化しようとしています。
・オンライン資格確認
・電子処方箋化
・地域、他職種とのICT連携
少なくともこうした医療業界の変化についていかないと、そもそもの連携が出来ません。
地域の医療、介護が連携して地域住民の健康サポートをしていきたいので、
求められるのは、やはりこの医療連携に関わる「医療業界のDX人材」だと感じています。
ただしその精神は地域貢献であり、自社の利益では誰も協力しません。
地域の方々にとって最適な状態を目指したいですね。
調剤薬局が目指す処方箋に頼らない経営
これから調剤報酬はますます厳しくなるというより、
基本点数は下がる傾向にあると思います。
その代わり対人での付加価値に点数がつくのだと思います。
その一つに2021年8月より開始される「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」が背景にあります。
おそらくこれを今後は点数化し、薬局の二極化に進むと考えられます。
簡単に言うと、
地域のために頑張る薬局と、そうでない薬局に分かれます。
今までは患者様のお薬に関することがメインでしたが、
今後はトータルに管理することが必要になっていきます。
そのためには、食事のサポートなども欠かせません。
管理栄養士さんなどの活躍の場を薬局が見出す事も大切ですね。
食事に関連した記事はこちらです↓
コミュニケーション能力、接遇向上が調剤薬局には必要
コミュニケーション能力は何においても最重要です。
これからますますオンライン化が進めば、薬剤師さん方がスキルアップする必要があります。
常にデジタルリテラシーを高めつつ、
オンライン対応でのコミュニケーション能力を高める事が重要です。
処方箋の「反復利用(リフィル)」が今後導入されれば、
※処方箋の反復利用:医療機関に行かずとも、一定期間内に処方箋を反復利用できる状態になると言われている
患者様の流れが一気に変わります。
今まではクリニック受診 → 薬局だったのが、
処方箋の反復利用では、薬局 → 必要であればクリニックになります。
そのため患者様の体調管理には今後、
調剤薬局スタッフ全体のスキルアップが必要です。
やはり定期的にコミュニケーション能力を高める工夫を薬局内で考える必要はあると思います。
まとめ
このVUCAの時代に医療業界、薬局業界も変化を求められています。
安易にデジタル化していくのではなく、
アナログの良さは残したまま地域に根差した調剤薬局づくりにしていきたいですね。
私はDXを学び、
何が地域、地域の方に必要なのか?
どうすればもっと良くなるのか?という目線で、
人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させることが出来るようにしたいと思います。
最後までありがとうございました。
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